Insights Strategy

根拠のない高い目標には、データで答えを返します

高い目標ほど良い目標だとは考えていません。目標はデータで届くと示せる高さに置き、今の姿との差と、その差を埋める施策を分けてお見せします。

高い目標ほど良い目標だとは、私たちは考えていません。目標は、データで届くと示せる高さに置くものです。そのうえで、今の姿との差と、その差を埋める施策を分けて見せる。そうして初めて、チームも、ご一緒しているブランドオーナーの担当の方も動けるようになります。

何も考えずに置かれた目標が、いちばん人を疲れさせる

前年の実績に、一定の伸び率を掛ける。そうやって立てた目標がいちばんよくない、と若松武志は話しました。考えずに置かれた数字が、周りの人を疲弊させる根っこになるからです。

伸び率そのものが悪いわけではありません。問題は、その伸び率がどこから来たのかを誰も説明できないことです。説明できない数字は、あとから確かめることもできません。達成できなかったときに、何が足りなかったのかを振り返る手がかりが残らないのです。だから次の年も、同じやり方で同じように数字が置かれます。

根拠のない目標は、何から手をつければよいかを教えてくれません。それでもチームは走ります。届かなければ、関係は苦しくなります。叱られて、仕事がどんどんつまらなくなります。いちばんよくないのは、分かりましたと言って何でも引き受けてしまうことだと、若松武志は言います。ブランドオーナーの前に立つ担当者は、後ろにいるチームを守らなければいけない。それが私たちの考え方です。

守るというのは、仕事を断るという意味ではありません。引き受ける前に、届くかどうかを確かめるという意味です。

目標を否定するのではなく、届く道筋をさがす

では、根拠の示されない大きな目標が出てきたとき、私たちはどうするか。目標そのものを否定することはしません。高い目標を掲げること自体は、ブランドを預かる側の意思です。その意思を否定しても、何も前に進まないからです。私たちが見るのは、高さが妥当かどうかではなく、そこへ届く道があるかどうかです。

やるのは、データでシミュレーションすることです。どうすればその高さに届くのか。届くとしたら何をどれだけ積むのか。届かないとしたら、どこで足りないのか。ふだん、人はここにあまり時間を割きません。目標は決めるものであって、考えるものだとは思われていないからです。けれども本当に人と時間を割くべきなのはここだ、と若松武志は話しました。5 co. が科学的な目標設定と呼んでいるのは、この作業のことです。

そのうえで、数字で率直にお返しします。届く目標には、これなら達成できますと。届かない目標には、これは無理ですと。どちらも同じ態度で伝えるのが、私たちの役目だと考えています。できないことをできると言わないのは、できることをきちんとお約束するためでもあります。

高い目標が出てきたとき、5 co.がすること

出てきた目標高さは否定しない道筋を確かめるデータでシミュレーション届くかどうかを返すできる/できないを同じ態度でギャップと施策で渡す数字だけを渡さない
図4|目標の高さを評価するのではなく、届く道筋があるかを確かめ、ギャップと施策の形にして渡します。出典: 5 co.による概念整理。この図は進め方の順番を示すもので、各段階に必要な期間や、目標の妥当な高さを示すものではありません。

数字だけを渡さない。ギャップとして説明する

もうひとつ、気をつけていることがあります。衝撃の大きい数字を、そのまま突きつけないことです。

たとえるなら、来月のあなたの給料はいくらです、と突然告げられるようなもの。受け取る側には重すぎます。数字が正しくても、それだけでは次の一歩が見えません。重い数字を受け取った人は、まず身構えます。身構えたところからは、施策の話が始まりません。

だから私たちは、数字を単体で出しません。カテゴリーの水準から見て、今どれくらいのギャップがあるのか。そのギャップを埋めるために何をするのか。たとえば新しい商品の組み合わせを用意する、といった具体策まで、セットでご説明します。ギャップという形にすると、数字は評価ではなく、これから埋める作業の単位に変わります。

非現実的な売上目標と比べて今がどうだ、という見せ方はしません。見せられた側が自分で動ける形になっていないからです。これは一つのチームの工夫ではなく、5 co. の方針として決めたことです。

目指すのは、定時で終われる計画

私たちが目指しているのは、道筋が見えていて、このゴールは達成できますと言い切れる状態です。そしてもうひとつ、チームが無理なく定時で仕事を終えられる計画であること。この二つは、別々の話ではありません。

届く根拠がないまま高い数字だけが置かれているとき、そのしわ寄せは人の時間に出ます。逆に、データから道筋を引けていれば、やらなくていいことが分かります。使わなくていい予算と時間も分かります。限られた時間を、効く順に並べ替えられるようになります。

定時で終われる計画というのは、ゆるい計画のことではありません。やると決めたことに、必要な時間がきちんと割り当てられている計画のことです。無理な高さのもとでは、どの作業も中途半端になります。

目標の高さを決めるのは、気合ではなくデータです。その根拠を一緒につくるところまでが、私たちの仕事だと考えています。

5 co. 代表取締役CEO 若松武志

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