メーカーでも小売でもない第三者だから、目標から在庫を逆算できる
在庫の計画は、過去に売れた数から立てるのが普通です。しかし目標を達成するために必要な在庫は、過去の実績からは出てきません。目標から必要な販売個数を逆算し、在庫の計画をメーカーとすり合わせる。メーカーでも小売でもない第三者の私たちが、その役割を担う理由を代表として書きます。
セールの直前に、主力商品の在庫が足りない
大型セールに向けて広告を強めようとした矢先、主力商品の在庫が残りわずかだと分かる。広告費を増やしても、数日で売り切れてしまえば意味がありません。メーカーの担当者からは「もっと早く言ってくれれば、増産できたのに」と言われる。
逆の場面もあります。セールに備えて多めに用意した在庫が、思ったほど売れずに残る。余った在庫は、値下げや保管の費用として、メーカーの利益を確実に削っていきます。
どちらの場面も、在庫が多すぎる・少なすぎるという問題に見えます。私は、どちらも在庫の計画が目標とつながっていないという同じ問題だと考えています。この記事は、私たちの社内で最近あったやりとりをもとに、その考えを代表として書いたものです。
ある会議で、私が伝えたこと
先日、社内の定例会議で、あるクライアントの主力商品の在庫が、広告を強めればすぐになくなる水準だと報告がありました。担当者は、在庫が少ないうちに広告費を増やしても意味がないと考え、まずクライアントに在庫の状況を確かめるつもりでした。
その判断自体は正しいと思います。そのうえで私が伝えたのは、在庫の話は、私たちから根拠を持って切り出そうということでした。在庫がこれだけしかないなら、これだけ増やしてほしい。なぜなら、目標を達成するにはこれだけの販売個数が必要だから。そう言える必要在庫の計画を、私たちの側から出していこう、と。
計算そのものは、難しくありません。カテゴリーごとの目標売上を、そのカテゴリーの平均購入単価で割れば、必要な販売個数が出ます。そこから、広告で売っていく分を含めて、どの商品がいくつ必要かを割り出す。あとは、その数字とメーカーの在庫の計画が合っているかを、同じ資料の上ですり合わせるだけです。
目標から必要在庫を逆算する
なぜ、第三者の私たちが担うのか
その会議で、私はもう一つ、私たちの立ち位置について話しました。
メーカーは、商品を作る立場から自社の商品の動きを見ています。小売は、売る立場から自店の売場の動きを見ています。私たちは、そのどちらにも属さない第三者です。クライアントの商品がカテゴリーの中でどう動いているかと、これから広告で何をどれだけ売っていくかという計画を、並べて見ることができます。なお、第三者であることは、あるクライアントの情報を別のクライアントに渡すという意味ではありません。私たちが見るのは、それぞれのクライアントと合意した範囲の情報と、カテゴリー全体の動きです。
過去の販売実績から在庫を予測することは、誰にでもできます。目標から在庫を逆算するには、カテゴリーの中でどれだけシェアを取るかという目標と、そのための施策を握っている必要があります。 広告の計画を立てる私たちだからこそ、その逆算ができると考えています。
もう一つの理由は、時代の変化です。かつて、広告を扱う会社に在庫の予測が求められることはほとんどありませんでした。しかし最近は、メーカーからも小売からも、報告よりも在庫の見通しを求められる場面が増えています。種類の多い商品のように、メーカー自身が売れ筋を読みにくい商品では、売上の大きい品目に絞って私たちが一緒に予測を作ることもあります。
「代理店が在庫に口を出すのは筋違い」という見方にも、理がある
公平のために書いておくと、この考え方には、もっともな反論があります。
- 在庫を余らせるリスクを負うのはメーカーだ — 必要在庫を多めに見積もって、売れ残ったときの損を負うのは、計画を出した私たちではありません。
- 生産や物流の事情は、外からは見えない — 原料の調達や生産の段取りまで知っているのは、メーカーだけです。
- 目標が高すぎれば、在庫も過剰になる — 目標からの逆算は、目標そのものが無理なら、過剰な在庫を正当化する道具にもなりかねません。
どれも、その通りだと思います。私自身、メーカーの立場に立てば、在庫を余らせてしまうリスクの重さはよく分かります。だからこそ、在庫を決めるのはあくまでメーカーであり、私たちが出すのは判断の根拠だと考えています。目標と必要在庫と今の在庫の計画を同じ資料に並べれば、どこが足りず、どこが余りそうかが、双方に見えるようになります。目標が高すぎるなら、それも在庫の数字として見えてきます。見えないまま決めるより、余るリスクも在庫切れ(欠品)のリスクも小さくできるはずです。
「うちもそうだ」と思った方へ
セールのたびに在庫切れか売れ残りのどちらかに悩んでいる。在庫の計画が、売上の目標と別々に作られている。そう感じているなら、目標から必要な販売個数を逆算するところから始めてみてください。
目標から在庫を逆算する計画づくりは、お問い合わせからご相談ください。欠品が売上の伸びを止めるしくみは、市場は伸びているのに、なぜ自社だけ伸びないのかでも触れています。
本記事について: 事例は当社の社内会議の記録をもとに、クライアント名・ブランド名・業種・金額を伏せて再構成しています。
5 co. 代表取締役CEO 若松武志
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